チリで防災協力について長官と会談
                       
中央左がトロ長官。右端は平井チリ大使
中央左がトロ長官。右端は平井チリ大使

5月初め、南米のチリを訪問。国家緊急対策庁のリカルド・トロ・タサラ長官と、地震や津波などの防災協力について会談した。

日本が防災技術をチリに教え、チリが中南米諸国の専門人財を育成する、という三角協力を両国が費用負担して行っている。同庁の早期警報センターや、日本が寄贈した中古起震車も視察した。太平洋を挟んで、日本と正反対の位置にあるチリは中南米で最も早くOECD入りした、経済力のある治安のよい国。昨年ODAを卒業した。日本と同様、火山も多く、地震国。日本で地震があれば太平洋をはさんだチリで津波のおそれがあり、また、チリの地震が日本に津波を招くという位置関係にある。東日本大震災の前年にはチリ中部沿岸でマグニチュード8.5の地震が発生している。

チリ国家緊急対策庁の早期警報センターを視察
チリ国家緊急対策庁の早期警報センターを視察

日本の技術協力「中南米防災人財育成拠点化支援プロジェクト」(通称KIZUNAプロジェクト)は2015年3月にスタート、来年3月までの予定だが、ハリケーンに弱いカリブ諸国だけでなく、メキシコ、ペルー、ブラジル、アルゼンチンなど主要な国々も加わり、すでに25ヵ国4670人がチリで研修を受けた。日本政府が途上地域でいろんなタイプの「南・南協力」を展開している中でも、特に成功例だと思う。同席したロドリゴ副長官ら同庁の職員たちは6月に2週間、東京、仙台、神戸を訪問するという。
トロ長官の口から「きずな」「心のケア」といった日本語がごく自然に出てくることに感動した。 実は、元陸軍軍人のトロ長官自身、国連ハイチ安定化ミッションに従事していた2010年にハイチ地震により夫人を亡くしている。(ハイチはカリブ海の島国)長官は「心のケア」を、災害発生後の被災者たちのケアという意味に加え、国民の防災意識の向上という意味にも用いた。

日本が寄贈した 中古の起震車。真中がトロ長官、右は平井好伸大使。「日の丸」やチリの人気キャラ クターが描かれている。
日本が寄贈した中古の起震車。真中がトロ長官、右は平井好伸大使。「日の丸」やチリの人気キャラクターが描かれている。

地震を体験できる起震車は埼玉県の地名と思われる「比企」の文字が書かれたままで、日の丸もついているし、チリの人気キャラクターの絵も描かれている。チリがまだ援助対象国だった一昨年に贈与された。 同国の北部地区を巡回してきて首都サンチャゴの庁内に戻ってきていたのを見た。日本から途上国に中古の消防車が贈られたケースはかなりあるが、起震車の話は初めて聞いた。

起震車の中にはテーブルと椅子が置かれ、地震を体 験できる
起震車の中にはテーブルと椅子が置かれ、地震を体 験できる

担当者によると、特に子供たちに人気で、SNSで「〇市を訪問」という情報が流れると「うちの町にも来てほしい」という要望がたくさん寄せられるという。
私も地元のイベントに参加した起震車に行列ができて人気なのを思い出した。

また、二階幹事長の提案で国連が11月5日を「世界津波の日」と定めたことにちなんで、昨年10月和歌山県で開かれた「世界津波の日・高校生サミット」にもチリの北部アリカの高校生たちが参加した。

日本・チリ合同避難訓練も昨年11月行われた。神奈川県の「首都直下地震防災訓練」に在京チリ大使が、チリ・マガジャネス州の避難訓練に、日本大使館員がそれぞれ参加した。
両国の防災をめぐる協力が一層強化し、また、カリブ海の島国がそれによってハリケーンなどの被害から救われることを願う。十数年前、外務大臣政務官時代に、カリブ海の島国の大使や関係者を集めた防災に関する会議を東京で主催し、私は議長として、彼らの苦悩や日本に対する期待を多く聞いた経験を持つ。

 

 

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