性犯罪厳罰化の刑法改正成立

私が法務大臣だった時の指示が実り、性犯罪を厳罰化する刑法改正が16日、国会で成立した。20日後に施行する。
私は、平成26年9月、大臣就任直後の官邸での会見で「女性の心身を傷つけ、人生を狂わせるおそれのある強姦罪の法定刑が懲役3年以上で、モノを奪う強盗が懲役5年以上。逆転している。かつて犯罪被害者基本法の議員立法にかかわったが、性犯罪の被害者は声をあげにくい。ふだん女性であることを意識して仕事をすることはないが、これだけはずっと改めたいと考えてきた」と述べ、翌日、刑法改正のための検討会設置を指示した。
これがきっかけとなり、それ以降、検討会から法制審議会、さらに国会審議へと、異例の早さで改正が進み、全会一致で会期末に成立した。

改正の骨子

  1. 強姦罪を「強制性交等罪」に改め、法定刑の下限を「懲役3年以上」から「懲役5年以上」(殺人罪、強盗罪と同じ)に引き上げる。これで、被害者が刑の軽減を求めるなどにより裁判所が情状酌量した場合を除き、執行猶予はつかないことになる。
    致死傷罪については「無期または懲役5年以上」から
    「無期または懲役6年以上」(強盗致傷罪と同じ)に改める。
  2. 被害者の告訴がなくても罪に問えるようにする。(現在は親告罪)
  3. 「監護者性交等罪」と「監護者わいせつ罪」を新設し、同居して生活を支える親や親の恋人などが影響力に乗じて18歳未満を対象にした性的行為を処罰する。
  4.  強制性交等罪は男女ともに被害者、加害者になる。(男性被害者の8割超が20歳未満、その加害者の大半が男。)

今から10年以上前、法務委員会で、強姦罪の法定刑が強盗罪より軽いことについて、怒りを込めて質問したことがある。「明治時代にできた法律を、いろいろバランスを取りながら改めてきて、これでも逆転の差が縮まってきた」とか、「これは法定刑の下限であって、裁判で重い判決も出せるのだから」といった内容の答弁が返ってきて怒りが増幅した。女性の地位が低かった時代の法律を平成の時代まで引きずってきたのだ。
裁判員制度が始まったことにより、性犯罪に対する判決は、それ以前に比べると厳しくなっている。一般人である裁判員の常識がそうさせてきたのだ。

また、強姦や強制わいせつは、現在、被害者の告訴がなければ犯罪にできない親告罪だが、非親告罪に改める。被害者が訴えにくいケースがあることや、加害者が「あいつが警察に言ったから、オレが捕まった」と逆恨みして第二の犯行に及ぶ危険もあるためだ。
私が犯罪被害者問題に関心を寄せるきっかけになったのが、まだ議員になる前に江東区で起きた殺人事件だった。強姦罪で実刑になった男が刑務所から出所後、自分を告訴した被害女性を殺害したのだ。
当時は、犯罪被害者の権利は極めて薄く、加害者が起訴されたか、裁判がどうなって いるのか、刑務所に入ったのか、刑務所からいつ出てくるのか、など、被害者には全く知らされなかった。私は、この被害女性が本当にかわいそうでならなくて、法律はひどいと思った。

現行法でも、被害者が14歳未満なら、「本人が同意した」という言い訳は通らず、行為そのものが犯罪になるが、「14歳以上」の場合は、暴行や脅迫が伴うことが犯罪要件になる。
しかし、女の子が親、義父、母の恋人など同居したり生活の面倒をみてもらっている相手から、そうした行為をされても、「可愛がっているだけ」と言い聞かされて 被害を認識できなかったり、あるいはイヤでも家族にさえ相談できず、声を挙げることが出来なかったりして、繰り返されることがある。
今回設けられた「監護者性交等罪」「監護者わいせつ罪」では、こうした場合にも犯罪にできる。

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