第190回国会 科学技術・イノベーション推進特別委員会 第3号より(平成28年5月12日)

松島委員 自民党の松島みどりでございます。

平成二十六年五月、内閣府設置法改正により、それまでの総合科学技術会議が総合科学技術・イノベーション会議に改組されました。とても意味のあることだと思っております。科学技術を活用して、経済や社会を大きく変革し発展させるイノベーションを生むことこそがすばらしいのですから。当委員会の名称も、科学技術・イノベーション委員会。非常にうれしく思っております。

まず、研究成果の実用化という観点から、SIP、戦略的イノベーション創造プログラムについての質問であります。

大臣が三月十日に開催されました二〇二〇年に向けた科学技術イノベーションシンポジウムの中で九つの技術が取り上げられましたが、私が関心を抱いたものの一つに、ゲリラ豪雨や竜巻予測技術の研究開発というのがございます。これもSIPに含まれております。

ここ数年、積乱雲の急速な発達が原因のゲリラ豪雨や竜巻による被害が相次いでおります。平成二十年八月五日、豊島区雑司ケ谷のゲリラ豪雨により、下水道工事中の方が五人亡くなられた件を例にしたいと思います。

この日の東京の天気予報は、曇り時々雨というものでありました。実際には、雑司ケ谷では午前十一時半から午後一時半にかけて雨が降ったんですが、降り始めから十分で毎時四十ミリ超、二十五分で毎時百八ミリ超の猛烈な雨になったことが、気象庁のものよりも精度の高い防災科学技術研究所のMPレーダーの結果を分析することでわかりました。当時の気象庁の予報のメッシュでは警報できなかったのです。

ゲリラ豪雨や竜巻予測技術が完成するためには、変化が激しい積乱雲を高速度で正確に捉える観測レーダーの開発、正確な解析による気象予報モデルの構築が必要であり、それが実社会で役に立つためには、自治体はもとより、鉄道など交通機関、河川管理者、工事現場への情報伝達、さらには携帯電話による緊急豪雨速報などまでつないでいく必要があります。まさに省庁の枠を超えた取り組みが必要であります。ぜひ、大臣がその司令塔の役割を担っていただきたいと考えます。

そこで、このプロジェクトは、東京オリンピック・パラリンピックに向けたというか、生かすというような名目もありますけれども、そういうよりは、一年でも二年でも早く、できればことしじゅうにでも実現していただきたいと考えますが、大臣の見解をお伺いしたく思います。

島尻国務大臣 ただいま御質問のSIPにおけます豪雨、竜巻予測技術についてでございますが、これは、局地的な積乱雲などを詳細に観測できる最先端の気象レーダーを開発して、関係機関の協力体制のもとで、一時間先までの豪雨浸水域予測を国民に提供するということを目標としております。

実現すれば、早く警報を出せるために、御指摘のようないろいろな悲惨な事故につながりかねない豪雨対策に非常に有効でございまして、これらを世界に先駆けて実用化を加速していくことが必要だと考えています。

私といたしましては、科学技術の貢献によりまして国民の安心、安全を確保するために、今年度中にレーダーの開発を完成させるとともに、情報の収集や配信技術につきましては途中段階でも実装を図っていくというように、SIPのプログラムディレクターの活動を後押しして、関係省庁等に働きかけていきたいと考えています。

松島委員 今伺いました、今年度中にレーダーを開発して、そしてできた分野からどんどん進めていくというのをぜひよろしくお願いいたします。

さて、知的財産推進計画二〇一六が今週の月曜、九日に発表されました。非常に多岐にわたり、有意義なものがたくさん含まれておりますが、それに関して幾つか質問をさせていただきます。

まず、小中高校における知財教育の推進というのが入っております。

知財の保護や活用などを教えることが盛り込まれているのですが、大賛成であります。物を盗むのと同じように、特許の侵害やにせブランドというのはいけないことである、さらに、音楽や本やアニメ、こういったものも、制作者は能力と時間をかけて生み出しているのですから、きちんと対価を支払うべきものだということを子供たちにぜひ教えていただきたいと思います。

また、企業や弁理士、弁護士、そして大学の方などが協力して、知財の学習支援体制を構築することになっています。工場や研究所の方が、ぜひ何度か同じクラスに通って、そうやって魅力を教えていっていただきたいと思います。

実は、個人的なことを申しますと、私は、子供のころというか、今でもそうですが、手先が不器用で、実験はうまくいかないし、理科は好きな方ではございませんでした。それでも、文学少女で、本が好きでしたから、野口英世とかキュリー夫人とか、そしてライト兄弟、さらにエジソン、そういった人たちの伝記を随分読んで、感動いたしました。自分は理科が好きではないけれども、でも、科学というのは重要なものなんだということを十分に感じて、そして今では、科学者を応援したり、こうやって財政や税制や、そういう形で科学技術の支援をするという立場になりました。

子供たちはいろいろなタイプがいますから、こういった伝記などを勧めたり、感想文コンクールとか、そういうことも考えていただければと思っております。

知財教育の推進について、大臣の見解を、簡単で結構です、意気込みを教えてください。

島尻国務大臣 松島先生に知財教育が大切だと御理解いただきまして、大変うれしく思います。

知的財産推進計画二〇一六では、国民一人一人が知財人材ということを目指しまして、発達の段階に応じた系統的な知財教育を実施すべきとしておりまして、小中高等学校においては、次期学習指導要領の方向性に沿って、創造性の涵養、それから知的財産の保護、活用の意義の理解の増進を図るということとしております。

そのための取り組みの一つが、地域、社会と協働した学習支援体制の構築でございます。具体的には、産官学の関係団体等の参画を得て、中央及び地域で知財教育推進コンソーシアムというものを構築することとしております。

その中で、まさに御指摘のありました、創造者を尊重して知的財産を保護する姿勢を育むということや、あるいは、教育現場と企業、そして弁理士、弁護士、あるいは大学などが協力をいたしまして、企業の出前授業など、子供が継続的に本物に触れるということができる場を提供すること、さらには、発明家や科学者の伝記を活用すること、まさに今御指摘があったところでありますけれども、これらを参考にしながら、知財教育の充実に向けて努力していきたいと考えています。

松島委員 ありがとうございます。

この知財推進計画の中には、中堅・中小企業のすぐれた技術や製品の標準化推進及び海外認証取得の支援ということが盛り込まれております。

そこで、経産省にお尋ねでございます。

標準化の推進や海外認証取得の支援によって、中小企業は海外のメーカーに対して自社の製品を部品として売り込みやすくなる、そしてまた国際調達の対象にもなりやすくなります。しかしながら、中小・中堅企業の中には、独創的な技術力は持っていても、こういうことに取り組むのはなかなか負担が重いという会社もたくさんあると思います。経産省はどのような支援を行っていくのか、お答えください。

星野大臣政務官 松島委員の質問にお答えをさせていただきたいと思います。

先生御指摘のとおり、中堅・中小企業の海外展開を後押ししていくためには、標準化や海外認証取得の分野において、中堅・中小企業が抱えるさまざまな問題に対して必要な支援を講じていくことが極めて重要だと考えております。

そのため、まず、案件発掘から標準策定まで、中堅・中小企業の標準化を一気通貫で支援してまいります。具体的には、日本規格協会、通称JSAの標準化アドバイザー、これは十名以上おりますが、自治体、金融機関等と連携をいたしまして、案件の発掘、規格の原案作成等について個別に対応してまいります。国際標準化会合に参加するための渡航費用などの負担についても、国の予算措置のもと行っております。

また加えまして、中堅・中小企業によります海外認証の取得を支援してまいります。具体的には、日本貿易振興機構、ジェトロの専門家が、日本品質保証機構、JQA等の試験、認証機関と連携をいたしまして、海外認証取得に関する相談に個別に対応する体制を整備してまいります。

政府として、しっかりと中小・中堅企業を支援してまいりたいと考えております。

松島委員 ありがとうございます。

また、知財推進計画の中の特許に関する部分です。

特許庁は、これまで、アジアの新興国や途上国に特許や商標の審査を教える審査官を派遣したり、研修生を受け入れたりしてきました。最近は、日本の経済界の関心が高まっているインドやミャンマーに力を入れたり、中南米諸国にも力を入れ始めたと聞きます。これらのどんな国が多くあったのか、そしてまた、相手国や日本経済にどんな効果が出ているのかを伺いたいと思います。

それに関連して、私自身非常に感慨深いことなのですけれども、日本の初代の特許庁長官はあの高橋是清であります。

後に首相や大蔵大臣を務めて、二・二六事件で暗殺されたあの高橋是清が、明治の初め、二十代の若き官僚として情熱を燃やしたのが、特許や商標、著作権、デザインなどの知財保護の制度の確立でありました。一生懸命奮闘努力しまして、明治十七年にまず商標条例、翌年に特許の条例ができて、両方の所長を兼務いたします。

ぜひ欧米の実態を見に行きたいと言ったところ、御多分に漏れず、政府はお金がないということだったんですが、総理大臣になる直前の伊藤博文が決断をして、やはりレベルアップのために海外派遣が必要だということで、高橋是清はアメリカやイギリス、フランス、ドイツで認定審査の記録、資料を、そのころはコピーじゃないですから全部手書きで写したり、そして弁理士から話を聞いたりして学んでまいります。帰国後、是清は初代の特許局長になるわけですけれども、明治の日本は、知財の分野で欧米に追いつくために、このように一心不乱に頑張りました。

今、教える立場として頑張っていただきたい特許庁の方からお話を伺いたいと思います。

諸岡政府参考人 経済産業省特許庁は、我が国企業の有望な事業展開先でございますアジアや中南米などの新興国、途上国を対象として協力しております。

これらの国々は、特許審査のおくれであるとか知財制度が十分に整備されていないなどの課題を抱えた国々でございます。従来からのASEAN諸国に加えまして、委員御指摘のインド、ミャンマー、中南米諸国に対しまして、知財の人材育成や制度整備等の国際協力を実施しているところでございます。

ほんの一例のみ申し上げますと、最近の例でございますが、本年四月から五月にかけまして、インドの新人特許審査官約三百名に対しまして、特許庁の審査官九名が派遣され、そこで指導等を行ったということでございます。

相手国の知財の環境の向上を通じまして、我が国企業の海外進出に貢献しているというところでございます。

松島委員 もう一つ特許の話なんですが、私は、金融機関が中小企業融資の際に、経営者の個人保証に頼るのではなくて、その企業の成長力や将来性を買ってしっかりと融資をしていくべきだということをずっと推進してまいりました。その観点におきまして、今、経済産業省特許庁がこういうことの協力を、中小企業が持っている特許の価値について金融機関の人にわかってもらうような書類づくりというのを一生懸命手伝っているようで、これは頑張ってくださいということだけ申し上げたいと思っております。

話がかわります。

昨年、大村智博士がノーベル生理学・医学賞を、そして梶田隆章博士がノーベル物理学賞を受賞し、日本じゅうが沸きました。二十一世紀に入ってからの自然科学系の三賞の国別の受賞者数は、アメリカが五十五人でトップ、日本は十五人で二位となっております。この表を参照していただければと思っております。

この表の一覧表にも書き込まれているんですが、発見した事象の論文発表など研究の中心期とノーベル賞の受賞の時期は、一般的に十数年から三十年近く離れております。今、この日本のどこかで頑張っている研究が何十年かたってノーベル賞を受賞する可能性があると思うと、どきどきいたします。大臣も委員の皆さんもそうじゃないかと思っております。

一例を挙げますと、日本のお家芸として省エネの切り札ともなっている青色LEDは、二〇一四年にノーベル物理学賞を受賞した赤崎勇博士と天野浩博士、当時八十五歳と五十四歳ですが、この子弟コンビが、一番最初、青色発光ダイオードに必要な窒化ガリウムの良質な結晶化に成功したのは一九八六年のことです。まだ大学の教授と大学院生の時代でした。そして、その後、八九年に世界で初めて青色発光を実証したのです。

両博士の研究には、国の科研費が使われました。そして、赤崎博士は、豊田合成とともに青色発光ダイオードの製造技術の実用化に取り組み、九五年に事業化に成功しています。さらに、二〇〇〇年代に入り、天野博士がエルシードという会社とともに製造技術を改良し、熱のこもらない効率のいいLEDの製造技術を実用化して、大量生産への道を開きました。ここにイノベーションが花開いたわけです。

どちらにもJSTの開発委託費が投じられて、成功の後、一方は返済済みで、もう一方は返済中でございます。

新産業創出、社会改革につながる発明を生み出した産学官連携のモデルだと思うんですが、このように長い年月がかかります。

こういう意味で、科学技術への投資は未来への投資と言えます。日本と諸外国の科学技術関係予算を、このグラフを見ていただくとわかるんですが、伸びがずっと日本が悪い。これについては、この後、同僚議員が詳しく説明することになっておりますので、御答弁いただければと思っております。

最後に、一つだけお話しいたします。

今、情報工学というのが随分熱心に進められて、AIとかビッグデータ、IoT、そういったものが注目されております。

そこで、一つだけお願いがございます。

素材産業というのも大きな変革、化学は化けるものであり、例で申し上げますと、今回、特定国立研究開発法人の一つとなりました産業技術総合研究所、この前身の一つの場所で炭素繊維というのがおよそ半世紀前の一九五九年に生まれました。

そして、その後、私はかつて一九八六年ごろ、つまり、発明の後二十五年ぐらい、四半世紀ぐらいたったときに、経済記者として、東レの軽くて丈夫な炭素繊維がテニスのラケットやゴルフのシャフトに使われているというような記事を書いたことがあります。そして、さらに四半世紀ほどたった今や、ボーイング787の素材として機体重量全体の五割を占める、それぐらい炭素繊維は活用をされています。

このように、素材産業というのは、大きく、これも時間をかけて発達、実用化にイノベーションを生んでいくものです。

次の素材として、例えば、紙の原料であるパルプをナノのサイズまで小さくしたセルロースナノファイバーというのが、鋼鉄の五倍の強さで、鋼鉄の五分の一の軽さ、つまりかさばらないということで、新素材として、産総研が中心となって産学官連携のフォーラムを設けて、これも開発に取り組んでいるところでございます。

私は、経産副大臣だった二年前に、新木場の木材会館で行われたこのフォーラムの設立総会に参りました。勝手に推測していたのは、恐らく、需要の減少で苦しんでいる製紙業界とか木材の業界を救うためにやっているんだろうと思ったら、あに図らんや、集まった三百人近い中心の方々、圧倒的に、ユーザーとなり得る電機、自動車、建材、そういった業界の方たちで、びっくりした次第でございます。

こういう役立つ出口を考えた新規素材の開発も、科学技術イノベーションと考えて、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

科学技術の予算の伸ばしていただきたい話については、同僚議員にかわります。

 

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