「子供への性暴力」歴のある人を先生にしない
                       

 読売新聞が「わいせつ教員を再び教壇に立たせない」ための企画記事を連発しており、高く評価する。

性暴力の中でも、先生が、信頼や権力をもとに児童生徒に対して行うのは特に重大な問題であり、被害者を自殺や精神疾患に追い込むこともあるからだ。

 ただ、私は小中・高校の教員はもちろんのこと、それだけではなく子供たちが「先生」と見ている、運動部の監督、コーチや、さらに放課後児童クラブや学習塾、スポーツクラブの指導者にも、「子供への性暴力」歴のある者には、ついてもらっては困ると考える。

 性暴力の再犯率は他の犯罪より高いためだ。

教員免許は、都道府県と政令市の教育委員会が出す。そのため、わいせつ行為により懲戒処分となった者が、別の都道府県に採用され、再びわいせつ行為を行うということが過去にあった。

 こういう事態を防ぐため、教員がわいせつ行為で懲戒処分となった場合、各教委が官報に記載し、文部科学省がそれを元に「官報情報検索ツール」を作成して、私立校を含む全国の教員採用担当が閲覧できるようにしている。

 ところが、この「ツール」が過去3年間分しか検索できない仕組みだったため、私は文科省に再三要請し、2021年2月末までに「40年間見られるシステム」に改められることになった。23歳で懲戒処分されたら63歳までチェックできることになる。

 また、文科省は2020年9月までに、すべての都道府県と政令市の教育委員会が児童生徒にわいせつ行為をした教員を原則、懲戒免職処分とする基準を設けた。

 官報に免職教員の情報が掲載されていることが、すべての前提なのだが、29日の読売の記事によると、2019年度までの10年間に、10都道府県の教委で計61人の不掲載(うち46人がわいせつ事案)があった。

なお、この文科省の検索システムには、保育園や放課後児童クラブ、学習塾などの運営者はアクセスできない。

 読売の23日の記事では、全都道府県・政令都市の6割以上の教委が、採用時の願書などに「処分歴」を書かせることにしている。

 しかし、実は、願書や履歴書にウソを書いても、法律上は「私文書偽造」にすら該当しない。

さらに、教員になる前に、性犯罪で有罪(執行猶予付きも含む)や起訴猶予処分になった経歴があったり、未成年時の行為で「犯罪」として取り扱われなかったりした場合、本人が履歴書に「賞罰なし」と書いてしまったら、文科省のこのシステムだけでは防げない。

一般に、「犯罪歴照会」は犯罪を犯した者の更生及び人権との関係から、非常に難しい。法務省は有罪の情報を当該者の本籍地の自治体に知らせるが、それを照会できるのは、官公庁だけだ。それも、ある職種の資格要件に「犯罪歴がないこと」と法律で明記されている場合などに限られる。

私は、子供に対する性犯罪の経歴者を子供に関わる職業から排除することは、再犯による次の被害者を生まないためと同時に、本人のためにもなると考える。

そのため「第5次男女共同参画基本計画」(25日、閣議決定)の中の「子供、若年層に対する性的な暴力の根絶に向けた対策の推進」の項目に、以下の文章を入れてもらった。

「教育・保育施設等や子供が活動する場(放課後児童クラブ、学習塾、スポーツクラブ等)において、子供に対するわいせつ行為が行われないよう、法令等に基づく現行の枠組みとの関係を整理し、海外の法的枠組も参考にしつつ、そこで働く際に性犯罪歴がないことの証明書を求めることを検討するなど、防止のために必要な環境整備を図る。」

関係するのは内閣府、警察庁、法務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省(塾やスポーツクラブを所管)などである。

こうしたねらいの法律や制度をつくるのが、非常に難しいことは覚悟している。しかし、子供たちを学校及び、それ以外の「先生」からの性暴力から守るために、ぜひ「5ヵ年計画」の間に、仕組みを作りたい。

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