吉野彰さんのノーベル賞受賞決定の翌10日、iPS細胞で同賞受賞の山中伸弥氏が自民党本部で講演した。
山中先生は「吉野先生のリチウムイオン電池はすでに世界中で使われている。昨年受賞された本庶佑先生は、オプジーボですでに多くの人の命を救ってきた。私は、まだ一人の命も救っていない時に受賞した」
山中氏は2012年にiPS細胞でノーベル生理学・医学賞を受賞したのち、京大内にiPS細胞研究所(CiRA)を設立、所長を務めてきた。文科省も後押しし、これまでの6年間の成果として臨床用iPS細胞を作成、ストック。大学や研究機関15カ所には無償で、企業5社には10万円で提供してきた。
CiRAにストックされているiPS細胞は日本人の4割をカバーする4種類のHLA型。日本赤十字社や、臍帯血バンクからドナーの本人同意を得て提供されたものをもとにつくっている。
7人の医師が同研究所のiPS細胞を用いて臨床段階に入っている。
すでに眼の加齢黄斑変性や角膜上皮幹細胞疲弊症、パーキンソン病については患者に移植手術を実施し、安全性を確認中。
このほか、重症虚血性心筋症や脊髄損傷、血小板減少症の臨床研究について厚生労働省の承認済みで、手術が有効な患者を目下、リクルートしているという。
山中先生は、「優秀な人材の確保」を現在のCiRAの最大の悩みとして挙げた。
私は「5、6年前に、CiRAを視察したときにはノーベル賞を受賞した山中先生に惹かれて世界中の優秀な人材から入所希望の電話がかかってくると伺ったが、そういった人も引き抜かれてしまったのですか」と質問。
山中先生は「大学の一機関では正規の雇用ができず、任期付き採用(1年・3年・5年などの任期)で所員を埋めている。そのため優秀な人材から国内や海外の民間企業にとられていく。いや、全部取られていると言っていい」と嘆いた。
CiRAの資金不足解消のため、山中先生自ら各地のマラソン大会を走って寄付を呼びかけているのは有名だ。
iPS細胞のストックから臨床研究者への「橋渡し」への段階に移行した今、CiRAのこうした問題を解決するため、来年4月には京都大学iPS細胞研究財団公益財団法人を発足させる。
公益法人になると公的役割を継続したまま、職員の正規雇用や商用細胞製造を行うことができる。一方、株式会社では日本赤十字社などからの提供を受けられない。
iPS細胞は、来年以降の近いうちにゲノム編集なども活用して、日本人の残り6割にも適合するだけの種類のストックをつくりたいとしている。最終的には患者自身のiPS細胞を100万円程度で(今は数千万円かかる)、2025年以降に実現したいとしている。

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